素敵な音色を鳴らし続けた自らの人生を振り返って綴った「G線上のしあわせ」の作者、村岡悦子さんに聞く

「G線上のしあわせ」の著者、村岡悦子さん
G線上のしあわせ|村岡悦子/著
  • G線上のしあわせ
  • 村岡悦子/著
  • A5版 320ページ
  • 並製本
  • オフセット印刷
  • 制作部数:300部

村岡悦子(むらおか えつこ)プロフィール

  1. 1947年、静岡県小笠郡生まれ。1968年、静岡県立保育専門学院卒業。
  2. 御前崎市白羽保育園をスタートとして、習志野市東習志野保育所、袖ヶ浦保育所、菊田第二保育所、鷲沼保育所、菊田保育所、本大久保保育所、あかしあ学園、習志野市障害福祉課、同児童課等、児童福祉に関するさまざまな職場を経験する。
  3. あかしあ学園園長、本大久保保育所所長を経て 2008年、退職。現在は、卓球・ヴァイオリン・絵画・旅行等で多忙の日々を送り、第二の青春時代を謳歌している。

これまで出会ってきた人たちに、感謝を込めて綴った「自分史」

私の人生はこれまでとくに華やかだったわけでもなく、有名になったわけでもないし、なにか特別な記録をつくったわけでもありません。でも団塊の時代に生まれ、高度成長時代を女、妻、母、そして職業婦人として、私なりに一生懸命生きてきました。そんな私の人生を振り返り、自分自身を改めて見つめ直したいと考えて綴ったのが、本書「G線上のしあわせ」です。

執筆には、3年半くらいかかったでしょうか。子どもの頃から現在に至るまで、65年に亘る想い出の一つひとつを文章化する作業は、想像以上に大変でした。楽しい思い出ばかりじゃありませんからね。悲しい出来事もたくさんありました。楽しいことを書いているときはテンションも上がりますが、苦しいことを書くときは涙を流しながらの作業です。もう何度、これ以上書きたくないと諦めかけたことでしょう。

しかし、これもあれもすべて私の人生です。 いろんな人との出会いがあり、様々な出来事があって、今の私がいるのです。人生は私にとって大切な経験と思い出の蓄積でした。そんなことを、本書を書くことで改めて再認識できたと思います。

「G線上のしあわせ」挿入写真
「G線上のしあわせ」挿入写真

児童福祉の仕事を通じて、子どもたちから教わったこと

振り返ってみると、人生の大半を占める思い出は、仕事のことですね。結婚後3年ほど専業主婦をしていた以外は、ずっと児童福祉の現場(保育所・障害児通園施設・市役所障害福祉課・児童課・家庭相談室等)で働き続けてきましたから。幼い頃から子どもと遊ぶのが大好きでしたから、子どものいる現場は天職と思えるほど、生き生きと楽しめました。

子どもたちと接していて一番素敵なのは、大人である私たちが逆に彼らに教わるのが多いこと。育てるなんて本当におこがましい話で、むしろ逆にこちらが育てられていることの方が多いのですよ。

私の場合、一般保育施設だけでなくて、さまざまな子どもたちと関わる仕事を経験できたのも幸いでした。障害児施設や家庭相談室での仕事は、保育士としての私の見識をぐっと高めてくれた感じがします。本書では、職場での体験談をできるかぎり書き込んでおきました。少しでも後輩たちの参考になってほしいというのが、私のささやかな願いです。

「G線上のしあわせ」挿入写真
「G線上のしあわせ」挿入写真

スポーツ・旅行・音楽・絵画…。現在、第二の青春を満喫中

退職後は、仕事一辺倒だった生活が一変して、趣味の世界に没頭するようになりました。もともと趣味は多い方でしたけど、忙しくてなかなか時間を割けませんでしたから。そんな鬱憤を晴らすかのように、卓球や合唱、絵画や旅行、そしてヴァイオリン…と、ほとんど家でじっとしていることがないくらいです。

そうですね、毎日が楽しくて仕方ありません。第2の青春時代を満喫しています(笑)。趣味の世界で出会ったお友達とも親しくなり、グループ旅行にも出かけるようになりました。北海道、屋久島、熊野古道、唐松岳、等々…。なかでも20㎞もの山道を、11時間かけて歩いた後にやっとたどりついた屋久島縄文杉の光景は、今でも忘れられません。気の合う仲間とこうしていつまでも楽しい時間を過ごせるのは、幸せなことですね。これからも体力が続く限り、思う存分人生をエンジョイしていきたいと思います。

本書のタイトル「G線上のしあわせ」というのは、バッハの名曲「G線上のアリア」をもじって付けてみました。ヴァイオリンのG線(一番太い弦)が奏でるのは、決して華やかではないけれど、ずっしりとした重低音。まさに、私の生き方そのもののような気がします。

表紙には、私の油絵を使ってみました。この絵のように、バラに囲まれた私の拙いヴァイオリンは、きっとこれからも素敵な音色を鳴らし続けてくれることでしょう。本書は、これまでお世話になった方々へのお礼として、贈らせていただくつもりです。ぜひ、楽しんで読んでいただければ嬉しいですね。

「G線上のしあわせ」挿入写真
「G線上のしあわせ」挿入写真