さしま茶クッキーを開発した意味

Kプランニング

こがにゃんこクッキーの新製品・さしま茶味の開発に取り組んできました。さしま茶というのは、古河、坂東、常総、八千代、境といった猿島地区で生産される特産品。江戸時代末期に全国に先駆けてアメリカに輸出されたお茶としても有名です。こがにゃんこがめざしているのは、歴史普及と同時に、地域活性化。とくに地元の特産品を広めていくことは、大切な役割の1つです。そんな考えから、こがにゃんこクッキー・さしま茶味を作ることになったのです。

そこで頭を悩ませたのが、さしま茶をどこから提供してもらおうかということでした。せっかく地元の特産品を活用する新製品を実現するわけだから、さしま茶の公式な団体とコンタクトをとった方がいい。しかしさしま茶協会も、生産組合も、古河市内ではなくて猿島郡境町が拠点です。鷹見泉石を中心とする歴史普及という観点からは、できれば旧古河市内の茶畑で栽培されたさしま茶を使いたいのが私たちの本音でした。

そこで相談してみたのが、鈴木茶園のご主人・石川さん。さしま茶を使った新製品の話を持ちかけると、即座に古河茶専門店会の存在を教えてくださいました。複数のお茶専門店から結成されるこの組合では、市内のお茶文化を広めるために古河総合公園でさしま茶を栽培し、新茶摘みとかお茶のスイーツ開発などのイベントを積極的に行っているらしい。組合とつながってさしま茶を提供してもらう形にすれば、プロジェクトに強力な応援団が誕生するのは間違いありません。

さっそく組合の副会長である関善の関さんを訪れ、さしま茶を格安で提供していただくことになりました。しかも関さんは、約20数年前に古河市が結成した「鷹見泉石普及活動実行委員」の事業振興委員。古河市が合併し、市長も替わり、市の方針が歴史普及から経済一辺倒へと転換したため、次第に勢いをなくしていった「鷹見泉石普及活動」をなんとか復活させたいと模索している方なのでした。さしま茶の普及と、古河の歴史普及、さらには福祉支援にもつながる活動趣旨に、喜んで賛同してくれたのは言うまでもありません。

社会福祉施設による地域貢献の必要性が、関係者の間では声高に叫ばれています。これまでは福祉施設というのは、地域に支えられる存在でした。しかしこれからの時代はむしろ、衰退する地域社会を活性化させるための中心的な役割を果たしていく必要があります。そのためには、何をすべきなのでしょう? 最近ではこうした観点から全国の優れた事例を紹介する機会も増えています。社会福祉法人パステルに「こがにゃんこプロジェクト」への参加を求めたのは、まさにその代表として古河市を全国に発信したいという私の強い思いから来ています。

さてさて、これから福祉施設(パステルの諸君)が歴史普及の旗振り役となり、地元商店の人たちと協力して地域活性活動を進めていくことができるのかどうか。こがにゃんこクッキーに、さしま茶味という新製品を加えたことで、ますます地域との連動は増えていくはずです。有力なご当地キャラクターとタイアップすることの意味と可能性を、実証していくのはこれからの努力次第でしょう。少なくとも、地域貢献と工賃向上の二つは決して相反するものでないことを、証明していきたいものですね。

さしま茶クッキーを製造するたんぽぽのメンバーたち(さしま茶クッキーを開発した加藤シェフとパステルのメンバーたち)