支援の質が、工賃を高める

Kプランニング

来年2月に開催される全国社会就労センター協議会(セルプ協)主催のセンター長研修会で、またまた講師の依頼を受けました。これまで「こんなにあったスゴイ施設」「工賃向上に必要な4つのチカラ」「工賃向上を実現するために必要な視点」というテーマで、全国の先進事例を報告する講義を行ってきましたが、今回のテーマは「B型事業所における支援の質」です。

「工賃向上が必要なのはわかるけど、ウチの施設は重度の利用者が多いし、支援に力を入れているので、生産性は上がらない。だからなかなか工賃が上がらないのも仕方ないのです」といった発言をする職員をよく見かけます。でも、本当にそうなのか? というテーマについて、今回の研修会ではもう一度考えてみようということになったらしいのです。

そこで私に依頼があったのが、「支援の質を高めることによって、工賃向上を実現した施設がないか?」ということでした。じつは、このテーマは、私もずっと調べていたことでもあるのです。全国の研修会で好評をいただいている「工賃向上に必要な4つのチカラ」という先進事例は、言ってみれば精神論のススメでありました。「こんなに頑張っている施設が、全国にはたくさんある。福祉という言葉に甘えずに、まずは今やれることの最大限に取り組もう」という訴えかけですね。

もちろんそれだけでは障がい者就労支援施設として不十分なのは、私だって承知しています。どんなに売上を伸ばし、高い工賃を実現しているといっても、肝心の利用者たちが楽しく働いている職場でなければ、施設としての価値はありません。工賃至上主義はいずれ行き詰まり、悲しい結末が待ち構えていることでしょう。バブル時代に栄華を極めた巨大社会福祉法人も、今では苦しい経営を強いられているのはそのためです。もう一度原点に立ち返り、B型事業所のあるべき姿を考えてみよう。今回の決まった研修会のテーマは、非常に意義深いものだと私は思いました。

じつは私が取材をしたきた中で、「支援の質が工賃を高める」ことを実証している施設は、いくつか存在するのです。ざっと思いついただけでも、弁当製造、DM発送、清掃、施設外就労、木工作業…と、その作業種別もバラエティに富んでいます。そしてすべての施設に共通していたのは、「利用者主体」「自主性を育てる」「工程を分解」「利用者の可能性を信じる」「職員は作業者にならない」「作業の見える化」を行っていたことでした。

もしかしたら考え方自体は、どこの施設でも取り組んでいるものなのかもしれません。しかし大切なのは、それが「工賃向上」につながっているかどうかです。今回の講義では、支援の質と工賃向上の2つを実現した施設の事例について、詳しく解説してみようと思います。